最近、実家を相続された30〜40代の方から、「これからの自分らしい暮らし」についてご相談をいただく機会がとても増えています。今回のブログでは、次回打合せで設計契約をさせて頂くオーナー様とのエピソードを交えながら、私たちの設計思想についてお話ししたいと思います。
実は今回のプロジェクト、なんと**「7社相見積」**という非常にハードルの高い状況でした。その中から最終的に私たちDaishoを選んでいただけた理由はどこにあったのか。そして、高性能リノベーションにおける「設計の解き方」とはどういうものなのか、紐解いていきましょう。

【既存の和室は真壁づくり。この状態をどこまで解体するかで、工事費用・施工方法・申請の要不要・住んでからの不具合の可能性など全てが複合的に絡みます】
■7社の中から選ばれた「納得感」の正体
オーナー様が一番悩まれていたのは、「どこまでやれば、本当に快適で安心な家になるのか?」という点でした。大手ハウスメーカーから地元の大工さんまで、各社がさまざまな提案をする中で、私たちの提案が響いたポイントは大きく3つあったと思います。(※設計担当者の所感です)
1. 「調査から設計まで」を一貫して一人が担当する安心感
リノベーションで一番怖いのは、工事が始まってから「あ、ここ腐ってました」「この壁は抜けません」というトラブルが起きることです。 Daishoでは、設計担当者が自ら床下に潜り、屋根裏を覗き、建物の「健康診断」を徹底的に行います。調査をした人間がそのまま設計図を書く。そうすることで、責任の所在が曖昧にならず、現場の現実に基づいた図面ができあがります。
2. 「平面パズル」ではない、論理的な暮らしの提案
「ここがリビングで、ここがダイニングです」という、パズルのような間取り提案は誰でもできます。私たちが大切にしているのは、そこに**「なぜ、この配置なのか?」という論理性**があるかどうかです。 光の入り方、風の抜け道、この窓はカーテン閉めっぱなしにならないか、そして何より住まう人の生活動線。理屈に基づいた設計だからこそ、オーナー様にも「なるほど、それなら使いやすいね」と深い納得感を持っていただけたのだと思います。
3.納得感のある価格
Daishoのリノベーションプランは、「安ければそれで良い」というプランではありません。「見積はどこよりも安かったが、住んでみたら思ったより寒かった。使いにくかった」となってしまっては元も子もありません。論理的な動線計画 と 合理的な断熱施工計画 を組み合わせることで、コストパフォーマンスを最大化するプランニングとしています。そして、補助金(国・市町村)も最大限活用します。

【現プランの内観パース。隅に寄せた窓からの自然光が、天井と壁を沿うように照らします。日中はカーテンレスで過ごせます】
■今回の難題:木造2階建てを「1階完結型」へ
今回の物件は、年季の入った木造2階建て。オーナー様は「将来のことも考えて、1階だけで生活が完結するようにしたい」というご希望をお持ちでした。
ここからが設計士の腕の見せどころです。リノベーションの設計とは、バラバラの要素を複雑に組み合わせて、一つの正解を導き出す「高度なパズル」のようなものです。今回の設計要素を整理すると、以下のようになります。
① 1階31帖の大空間を、エアコン1台で管理する
高性能リノベーションは弊社設計部が設立当初から取り組んできた得意分野。
1階の居住スペースは約31帖(15.5坪)。一般的な住宅なら、エアコン2〜3台をフル稼働させても「足元が寒い」「場所によって温度が違う」となりがちな広さです。 これを**「家庭用エアコンたった1台」**で、夏も冬もムラなく快適にする。Daishoの設計施工するリノベーションだからこそ手を抜かないポイントです。
② 「ゾーン断熱」という賢い選択
建物全体を丸ごと高性能化できれば理想ですが、それには莫大なコストがかかります。そこで今回は、生活の拠点となる1階部分を重点的に改修する**「ゾーン断熱リノベーション」**を採用しました。 使わない2階はそのままに、毎日過ごす1階を魔法瓶のように包み込むことで、コストを抑えつつ最高の住み心地を手に入れる手法です。


■「ただ断熱材を入れればいい」わけではない
ここが一番マニアックで、かつ重要なポイントです。今回の物件には、「リフォームして間も無い外壁」や壁内部の「土壁」の存在ありました。これらを無作為に解体せず「在る前提」で設計する場合、選ぶべき断熱工法が変わります。
私たちは、以下の要素を同時に天秤にかけながら計画を立てました。
- 雨仕舞(あまじまい): 外からの雨水侵入のリスク。
- 壁体内結露: 壁の中で湿気が悪さをしないか。湿気が入りにくく出やすい壁断面構成か。(家を長持ちさせる肝です)
- 温熱性能: 魔法瓶としての性能が十分か。
- 施工性とコスト: 職人さんが無理なく作れて、予算内に収まるか。
例えば、「断熱材を厚くすれば温かくなる」というのは正解ですが、厚くしすぎると室内の生活空間が狭くなってしまいます。 「性能は上げたいけれど、部屋は狭くしたくない。でも結露で柱を腐らせたくない……」 こうした矛盾する要素を、一つひとつ数値を出しながら解いていくのが、Daishoの設計です。
「Ua値(断熱性能の数値)」と言われてもピンとこないかもしれませんが、例えるなら**「冬の朝、布団から出るのが全く苦にならない温度を、コンビニのコーヒー1杯分くらいの電気代で実現する」**ための計算を、裏側で徹底的に行っている、ということです。

【既存の外壁材は約4年前に張り替えがなされた角波鋼板縦張り。状態は最良。可能な限り活かす方針としています】
30〜40代、これからの住まいを考えるあなたへ
相続したご実家は、思い出が詰まっている一方で、現代の基準で見ると「寒くて、暑くて、光熱費がかかる」という課題を抱えていることが多いものです。
リノベーションは、新築よりもはるかに難しい。既存の状態という「制約」があるからです。でも、その制約を逆手に取って、古いものの良さを活かしつつ、最新の快適さを注ぎ込むプロセスは、何物にも代えがたい楽しさがあります。
「光熱費が上がり続けていて不安」 「実家が寒すぎて、冬に帰るのが億劫」 「1人(あるいは少数)で住むには広すぎる」
そんな悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、私たちの「論理的なリノベーション」の話を聞きに来てください。ただの綺麗なリフォームではなく、「30年後も、この家にして良かった」と思える根拠をお示しします。